飲食店経営において、人件費は常に大きな課題です。
そのため、
「店長の管理が甘い」
「スタッフの生産性が低い」
といった声が上がることがあります。
しかし実際には、
人件費が下がらない原因を一人の責任にするのは危険です。
私自身、飲食業界で12年以上、店長やエリアマネージャーとして店舗運営に携わってきましたが、人件費が改善しない店舗には共通点があります。
それは、
この記事では、人件費が下がらない原因を「経営者」「店長」「スタッフ」の視点から整理し、本当に改善すべきポイントを解説します。
そもそも人件費が高いとはどういう状態か

人件費率とは、売上に対する人件費の割合です。
①売上500万円
②人件費150万円
150万÷500万×100=30
➥人件費率は30%です。
人件費率が高い原因は、
- 人件費が高い
- 売上が低い
のどちらかしかありません。
ここを見誤ると改善できません。
▶先に飲食店の人件費率がキツイ理由について知りたい方は、
以下の記事も参考にしてみてください。

経営者の問題であるケース

まず見落とされがちなのが、経営者側の問題です。
店舗の目標が曖昧
現場では、「人件費を下げろ」と言われるだけで、
- どの数値を目指すのか
- なぜ改善が必要なのか
などが共有されていないことがあります。
しっかりと説明がされていなければ、店長は不平不満を口に出し行動しません。
人員計画が現実的ではない
例えば30席の店舗に対して、
必要人数を大幅に下回る人員配置を求めるケースです。
結果として、
- サービス低下
- 離職増加
- 顧客離れ
- 売上低下
につながります。
採用投資をしていない
慢性的な人手不足なのに、
採用予算をかけない店舗もあります。
その結果…
既存スタッフへの負担が増え、
さらに人が辞める悪循環になります。
店長の問題であるケース

次に店長に原因がある場合について解説します。
売上予測をしていない
成功している店長ほど、
売上予測を基にシフトを組みます。
一方で、
感覚だけで人員配置を決めると、
過剰配置や人員不足が発生します。
教育ができていない
同じ人数でも、
教育レベルによって生産性は大きく変わります。
教育を疎かにし、新人が育たない環境は危険です。
結果として、営業に必要な人員が多くなり人件費を圧迫するケースも多いです。
数字を見ていない
店長が確認すべき数字は、
- 客数
- 客単価
- FL(原価・人件費)コスト
- 人時売上高
などがあります。
✓時間帯の売上を数値で算出し、
適正人数でのシフト組み
✓人時売上(スタッフ1人が1時間で生み出す売上)
比較と改善の実行
数値分析から店舗運営状況の把握と、
改善行動ができていない店長も多いです。
スタッフの問題であるケース

現場スタッフにも改善余地がある場合があります。
作業効率が低い
例えば、以下のようなケースです。
- スタッフ同士の話に夢中
- 作業スピードが遅い
- 優先順位が分からない
- 無駄な作業が多い
教育ができておらず、スタッフの意識改善が必要な場合もあります。
▶現場オペレーションを改善したい方へ。

教わる姿勢がない
逆に教育環境が整っていても、
習得意欲(やる気)が低ければ生産性は上がりません。
チームワーク不足
飲食店は個人競技ではありません。
スタッフ同士の連携不足は、生産性低下につながります。
実は最も多い原因は「仕組み」

現場経験から言うと、
人件費が下がらない原因の多くは、
誰か一人ではなく、仕組みの問題です。
例えば、
- マニュアルがない
- 教育制度がない
- 数字管理ができていない
- オペレーションが属人化している
こうした状態では、
誰が店長でも改善が難しくなります。
▶飲食店の現場業務を仕組み化する方法について。

人件費改善に成功する店舗の特徴

人件費を改善し、店舗の利益を出すお店について、
以下表をご覧ください。
| 人件費改善に成功する店舗 | 人件費が改善しない店舗 |
|---|---|
| 売上予測をもとにシフトを作成している | 勘や経験だけでシフトを組んでいる |
| 人時売上を毎日確認している | 人件費率しか見ていない |
| ピークとアイドルで適正な人数に調整している | 常に同じ人数で営業している |
| スタッフの教育が進み、少人数でも回せる | 教育不足で人数を増やして対応している |
| POSデータを活用して人員配置を決めている | データを見ず感覚で判断している |
| 店長が数字を理解している | 店長が現場業務だけに追われている |
| モバイルオーダーやセルフレジなどDXを活用している | すべて人の手で対応している |
| 作業を標準化し属人化していない | 特定の人がいないと店舗が回らない |
| 売上アップと人件費改善を同時に考えている | 人を減らすことだけを考えている |
| 毎週、売上とFLコストを振り返り改善している | 問題が起きたときだけ見直している |
人件費改善に成功している店舗は、「人を減らす」のではなく、「生産性を高める仕組み」を作っています。
▶以下、人手不足を仕組み化で解決している店舗について。

人件費改善は犯人探しではない

人件費が高いと、誰かの責任にしたくなることもあるでしょう。
しかし、犯人捜しをして指摘したところで、
離職が増え、かえって店舗状況が悪化するケースも多いです。
本当に利益が出ている店舗は、経営者・店長・スタッフが同じ方向を向き、仕組みを改善しています。
▶人件費削減で失敗する理由について。

まとめ

飲食店で人件費が下がらない原因は、
店長だけの責任でも、
スタッフだけの責任でもありません。
- 経営者の方針
- 店長の管理
- スタッフの生産性
- 店舗の仕組み
これらの理由が複雑に絡み合っています。
「誰が悪いか」ではなく、
「何を改善するべきか」
という視点が重要です。
人件費改善に成功している店舗は、数字を見ながら仕組みを整え、全員で店舗運営を改善しています。
その積み重ねが、利益の残る強い店舗づくりにつながるのです。



「人件費率が高い」
「利益が残らない」
「シフトを削っても改善しない」