飲食店経営者や店長から“よく聞く悩み”です。
近年は少子高齢化や働き方の変化により、
飲食業界全体で人材不足が深刻化しています。
そのため、
- 求人広告を増やす
- 時給を上げる
- 採用費を増やす
といった対策を取る企業も少なくありません。
しかし実際には、採用費を増やしても人材不足が解消されない店舗が多くあります。
一方で、慢性的な人手不足にもかかわらず安定した運営を続けている店舗も存在します。
その違いは何なのでしょうか。
私は飲食業界で12年以上、店長・製造責任者・エリアマネージャーとして店舗運営や人材育成に携わってきました。
その経験から言えるのは、
成果を出している店舗ほど「人」で解決するのではなく、
「仕組み」で解決しているということです。
この記事では、人材不足を仕組みで解決している飲食店の考え方について解説します。
人材不足は採用だけでは解決しない

多くの店舗は、人手不足になるとまず採用活動を強化します。
もちろん採用は重要です。
しかし、採用できなければ運営できない状態そのものが問題になります。
例えば、同じ売上規模で、
- 10人いないと回らない店舗
- 8人でも回せる店舗
では経営の安定性が大きく違います。
本当に必要なのは、「人を増やすこと」ではなく、
「少ない人数でも成果が出る仕組み」を作ることです。
考え方① 人に依存する仕事を減らす
人材不足に悩む店舗ほど、
特定の人に業務が集中しています。
- 発注は店長しかできない
- シフト作成は副店長しかできない
- クレーム対応は社員しかできない
このような店舗では、誰かが休むだけで運営が不安定になります。
強い店舗の考え方
“誰でもできる仕事は標準化”する、という考え方です。
- マニュアル整備
- 動画教育
- 業務手順書
教育で人が教えるのではなく、
マニュアル化や動画教育を活用しながら属人化を排除。
ある一定のレベルまで勝手に育つ仕組みを作ると強いです。
考え方② オペレーションを簡素化する
現場でよくあるのが、「昔からこうだから!」
という理由で複雑な業務を続けているケースです。
例えば…
- メニュー数が多すぎる
- 発注方法が複雑
- レジ作業が煩雑
などがあります。

私が担当していた店舗でも、商品数が増えすぎて製造や提供オペレーションが複雑化していました。
そこで、POSレジで販売数の少ない商品を分析&整理したところ、作業時間が減り教育負担も軽減されました。
結果として生鮮食品のロスが減り、
原価率が1~2%減など、数値面でも改善できた経験もあります。
オペレーションを簡易化することで、
教育時間の削減にもつながります。
考え方③ 教育を仕組み化する
人材不足店舗ほど、教育が属人化しています。
【飲食店でよくある状況】
- 教える人によって内容が違う
- 新人教育が現場任せ
- 忙しい日は教育できない
これでは新人が定着しません。
仕組み化の例
| 仕組み化の例 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 教育チェックリスト | 教える内容を項目ごとに見える化し、進捗を管理する | 教える人によるバラつきがなくなり、教育漏れを防げる |
| 動画マニュアル | 作業手順や接客を動画でいつでも確認できる | 新人が自分で復習でき、教育時間を短縮できる |
| 習得基準の明確化 | 「何ができれば一人前か」を具体的に定義する | 評価基準が統一され、育成スピードが上がる |
| 業務マニュアル | オープン・締め作業や調理手順を標準化する | 誰でも同じ品質で業務を行える |
| チェックシート | 日々の確認項目をリスト化する | ミスや抜け漏れを防止できる |
| 定期面談・フィードバック | 決まったタイミングで振り返りを実施する | 成長課題が明確になり、離職防止にもつながる |
教育の再現性が高まることで戦力化も早くなります。
考え方④ 数字で現場を見る
人材不足を感じていても、
実際には業務配分が悪いだけの場合があります。
現場でよく「忙しすぎる」と聞きますが、実際にPOSレジなどからわかる時間帯売上などを分析してみると…
ピーク時間の人員配置を失敗しているだけ。
というケースも少なくないです。
【見るべき数字】
- 客数
- 客単価
- 人件費率
- 人時売上高
感覚ではなく数字で判断することが重要です。
考え方⑤ DXは目的ではなく手段
近年は飲食店DXが注目されています。
例えば、
- POSレジ
- モバイルオーダー
- 自動発注
- シフト管理システム
などです。
しかし、“システムを導入するだけ”では意味がありません。
成功する店舗:業務改善のためにDXを活用する
失敗する店舗:DX導入自体が目的になっている
ここに大きな違いがあります。
▶DXで失敗する理由と、成功する店舗の違いについて。

人材不足を仕組みで解決している店舗の共通点

成果を出している店舗には、以下の共通点があります。
| 特徴 | 内容 | 得られる効果 |
|---|---|---|
| 属人化が少ない | 誰でも一定レベルで仕事ができる仕組みが整っている | スタッフによる品質の差が少なく、安定した店舗運営ができる |
| 教育が標準化されている | 教育内容や手順が統一され、新人育成に差が出にくい | 短期間で戦力化でき、教育負担も軽減される |
| 店長が現場に張り付いていない | 現場を任せられるため、管理業務や育成に時間を使える | 店舗改善やスタッフ育成など、本来のマネジメント業務に集中できる |
| 数字を活用している | 売上・人件費・原価などのデータをもとに判断している | 感覚に頼らない経営ができ、改善の精度が高まる |
▶仕組み化できない飲食店の特徴と、改善方法について。

現場経験者が感じる本当の問題

これまで多くの店舗を見てきましたが、業態や店舗の場所によって、求人応募の数に違いがあります。

インディードやバイトルなど、様々な求人媒体で広告をかけてきましたが、エリアによって物凄く差があります。
従量課金制で40万円を投資したところ、あるエリアでは100名を超える応募があったのに、違うエリアでは8名しか来なかったりもありました。
チェーン店で同じ業態、同じ募集要項にも関わらず、人の集まりやすさは場所によっても差が大きいです。
人材不足に強い店舗づくりをするのであれば、
採用できない前提で仕組みづくりをすると安定します。
反対に人が来ることを前提に運営すると、
“人材不足に弱い店舗”になってしまいます。
現在の飲食業界では、採用市場に期待し続けることはリスクです。
今いる人材で成果を出せる仕組みづくりに注力する方が、
採用コストや教育コストも踏まえて賢い選択だと感じています。
▶以下、現場オペレーション改善を進めたい方向けの記事です。

まとめ

人材不足を仕組みで解決している飲食店は、
- 業務を標準化している
- オペレーションを簡素化している
- 教育を仕組み化している
- 数字で管理している
- DXを適切に活用している
という共通点があります。
これからの飲食店経営では、
採用だけで人材不足を解決することは難しくなります。
だからこそ、
「人を増やす方法」ではなく、
「少ない人数でも成果が出る方法」
を考えることが重要です。
その発想の転換こそが、
人手不足時代を生き抜く、強い店舗づくりにつながる
と感じています。



「求人を出しても応募が来ない」
「採用してもすぐ辞めてしまう」
「現場は常に人手不足」