「モバイルオーダーを導入すると人件費が下がる」
これはモバイルオーダーの”営業資料”や”紹介記事”でよく見かける言葉です。
しかし実際には…
などの疑問を持つ経営者や店長も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、モバイルオーダーによって人件費を削減できる可能性はあります。
ただし、すべての飲食店で大きな効果が出るわけではありません。
店舗の規模や業態、客層によっては、期待したほど削減できないケースもあります。
この記事では、飲食業界での運営経験をもとに、
モバイルオーダーによる「人件費削減効果」の実態や、
「削減額の目安」、失敗する店舗の特徴まで詳しく解説します。
モバイルオーダーで削減できる人件費の目安

まず結論からいうと、実際の飲食店では、
1〜8%程度の人件費削減が現実的な目安になります。
規模間や業態、お店によって差は生じてしまうものの、
概ね以下のような数値感です。
| 導入効果 | 人件費削減の目安 | どんな店舗? |
|---|---|---|
| 小さい(導入は非推奨) | 0〜2% | フルサービスのレストラン、高級店 |
| 普通 | 2〜4% | カフェ、定食屋、洋菓子店 |
| 大きい | 3〜6% | 居酒屋、焼肉店、回転率重視の店舗 |
| 非常に大きい | 5〜8% | フードコート、ファストフード、セルフサービス業態 |
高級志向の寿司屋や、サービスが重要なレストランなど、
接客が顧客満足度に直結するような業態は、
導入して人件費が削減できたとしても、顧客離れにつながりやすいので不向きです。
▶まず先に、モバイルオーダーが「合う業態」「合わない業態」を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

実際に私がモバイルオーダーを導入した実績
過去に色々な業種でモバイルオーダー導入をしてきましたが、
成功と失敗を両方経験しております。

以下、私の経験談を表にまとめておりますので、よければ参考にしてみてください。
成功例:イートイン併設カフェ/洋菓子業態
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 席数 | 28席 |
| 人件費率(導入前) | 28.5% |
| 人件費率(導入後) | 26.0% |
| 削減率 | 2.5% |
| 月商(平均) | 1,000万円 |
| 毎月の利益増加 | 約20〜25万円プラス |
イートインでの人員配置を-1名で業務効率化ができた成功事例です。
現場でスタッフが慣れ、定着するまでに~2カ月ほどかかりましたが、2カ月後から人件費が安定して削減できた成功事例です。
成功例:焼肉業態
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 席数 | 30席 |
| 人件費率(導入前) | 32.0% |
| 人件費率(導入後) | 28.0% |
| 削減率 | 4.0% |
| 月商 | 600万円 |
| 毎月の利益増加 | 約24万円プラス |
後ほど詳しく記述いたしますが、オペレーションの緩和から必要人員を削減できた事例です。
成功例:居酒屋業態
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 席数 | 63席 |
| 人件費率(導入前) | 29.5% |
| 人件費率(導入後) | 25.0% |
| 削減率 | 4.5% |
| 月商 | 1,100万円 |
| 毎月の利益増加 | 約49万円プラス |
モバイルオーダー導入により、時間帯にもよりますが1~2名の削減ができた成功事例になります。
失敗例:カフェ(同業態)
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 席数 | 12席 |
| 人件費率(導入前) | 31.0% |
| 人件費率(導入後) | 31.0% |
| 削減率 | 0% |
| 月商 | 380万円 |
| 毎月の利益増減 | 約2〜5万円マイナス |
小規模であったため、イートイン利用での最低人員配置が変えられず、結果として「月額利用料」や「決済手数料」などの、
ランニングコストだけが増えてしまった失敗談です。
モバイルオーダーが人件費削減につながる理由

まずはなぜ人件費削減が期待できるのかを見ていきましょう。
モバイルオーダーによって削減できるのは主に注文業務です。
- 席へ案内する
- 注文を聞く
- ハンディへ入力する
- 厨房へ伝達する
従来はスタッフが上記の作業を行っていた店舗の場合…
モバイルオーダーではお客様自身が注文を入力するため、
この業務が大幅に減少します。
特に注文数の多い店舗では効果が出やすい傾向があります。
例えば“焼肉屋”や“居酒屋”では…
- ドリンク追加
- 単品追加
- デザート追加
お客様の注文回数が多いため、
スタッフのラウンド回数も多い業態です。
その分モバイルオーダー導入により、人件費削減効果が出やすい傾向があるというわけです。
必ず人件費削減できるわけではない

ここが大きな誤解です。
モバイルオーダーは注文業務を減らしますが、
スタッフが不要になるわけではありません。
飲食店には依然として以下の業務があります。
- 配膳
- バッシング
- 清掃
- レジ対応
- クレーム対応
- お客様案内
そのため「モバイルオーダーを導入したから1人削減できる」
という単純な話ではありません。
DX化による、レジ対応などの会計業務までを緩和したいのであれば「セルフレジ」、あと業態にもよりますが「券売機」などの導入が必要になります。
▶詳しく知りたい方へ
→券売機についてまとめた記事です。

人件費削減に失敗する店舗の特徴

モバイルオーダーで人件費を削減したいのにもかかわらず、失敗してしまう店舗の特徴についてまとめます。
導入直後に人を減らす
最も危険な失敗で、導入した瞬間にシフトを削るパターン。
- スタッフ負担増加
- クレーム増加
- 提供遅延
まだ慣れていないスタッフが多いのにも関わらず、無理にシフトを削って人件費を削減しようとすると失敗します。
使用方法で現場が混乱し、お客様にご迷惑をかけてしまい、謝罪対応などによるスタッフの疲弊から、離職率が高まる危険性も。
まずは運用を安定させることが重要です。
高齢者のお客様が多い
年齢層が高いエリアであれば、
「注文方法が分からない」という対応が頻発します。
結果として、スタッフが説明に回る時間が増え、
人件費削減どころか業務が増えるケースもあります。
客席数が少ない
10席程度の小規模店舗では、もともと注文業務の負担が少ないため、削減効果が限定的です。
私の失敗談でも記述しましたが、導入コストの方が大きくなる可能性があるので注意が必要です。
▶モバイルオーダーのデメリットについて。
→まとめた記事がありますので、詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

人件費削減以外にも期待できる効果

モバイルオーダーの価値は人件費だけではありません。
①注文ミスの削減
➥スタッフが聞き間違えるリスクが減ります。
②客単価アップ
➥おすすめ表示や追加注文の促進ができます。
③スタッフ教育が楽になる
➥新人スタッフが注文を覚える必要がなくなります。
業務効率化をメインに、導入するのも一つの手です。
モバイルオーダー導入前に確認すべきポイント

導入前には以下を確認しておくと、失敗するリスクが減ります。
- 客層はスマホ操作に慣れているか
➥高齢の方が多いと検討が必要です。 - 注文数は多いか
➥多いほど業務効率化に期待が持てます。 - POSレジと連携できるか
➥連携ができないと2度手間になり、作業が増えます。 - 厨房が注文増加に耐えられるか
➥注文が被ることによる提供遅れのリスクがないか。 - 月額費用以上の効果が見込めるか
➥削減できる人員が、費用以上の効果であるか。
人件費削減だけを目的に導入すると失敗しやすくなります。
以上を踏まえた上で、モバイルオーダー導入は検討したほうが安心します。
まとめ

モバイルオーダーは飲食店の人件費削減に効果が期待できる仕組みです。
ただし、削減効果は店舗によって大きく異なります。
一般的には1~8%程度の人件費改善が目安ですが、
- 業態
- 客層
- 注文数
- POS連携
によって結果は変わります。
重要なのは「人を減らすためのツール」として考えるのではなく、「店舗全体の生産性を上げるための仕組み」として活用することです。
モバイルオーダーを検討する際は、人件費だけでなく売上向上や業務効率化まで含めて判断することをおすすめします。
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「本当に人件費は下がるのか?」
「どれくらい削減できるのか?」
「導入したのに削減できない店舗もあるのでは?」