“人手不足”や“人件費高騰”を背景に、
モバイルオーダーを導入する飲食店が増えています。
「大手チェーンが導入しているから」
「人件費が下がりそうだから」
という理由だけで導入すると、小規模飲食店では失敗するケースが多いというのはご存じでしょうか。
実際に飲食業界で12年以上、店舗運営やマネジメントに携わってきた経験から言うと、モバイルオーダーはすべての店に向いているわけではありません。
特に20席前後の小規模店や個人経営店では、導入コストに見合う効果が出ないこともあります。
この記事では、小規模飲食店がモバイルオーダー導入で失敗する理由と、導入に向いている店舗・向いていない店舗の特徴を詳しく解説します。
小規模飲食店がモバイルオーダーで失敗する理由

小規模な飲食店でよくある失敗について、順番に解説します。
①そもそも注文業務が負担になっていない
モバイルオーダー最大の目的は注文業務の削減です。
しかし小規模店の場合、
- 客席数10〜20席
- スタッフ2〜3名
- 客数が限定的
というケースが多くあります。
こうした店舗では注文業務そのものが大きな負担になっていません。
そのため、「注文を取る時間が減った」としても、
劇的な改善につながらないことがあります。
②導入コストを回収できない
モバイルオーダーを導入するには、当然費用がかかってきます。
- 初期費用
- 月額利用料
- POS連携費用
- タブレット費用
例えば…月額2万円のシステムを導入した場合ですと、
年間で24万円の固定費になります。
導入前には必ず投資回収シミュレーションを行った上で、判断する必要があります。
③お客様との会話が減る
個人店や地域密着店では、「接客そのものが価値」になっているケースがあります。
- 常連客との会話
- 店主の人格
- アップセル(おすすめの提案による客単価向上)
モバイルオーダー導入後はスタッフとお客様の接点が減ります。
結果として、「なんだか居心地が悪くなった…」
と感じ、顧客離れに繋がるケースも少なくはありません。
④高齢者客への対応が増える
個人経営の飲食店では、地域住民やシニア層が常連になっているケースも多いです。
その場合、以下のような問題が発生しやすいです。
- QRコードが読めない
- 注文方法が分からない
- スマホを持っていない
結局スタッフが説明に回ることになり、かえって手間が増えてしまうケースもあります。
⑤提供遅れがでてしまう
モバイルオーダーは注文が直接厨房へ流れます。
すると、これまでスタッフが自然に調整していた注文ペースがなくなります。
例えば…ランチピーク帯などでは、これまで順番に受けていた注文が一気に流れ込むことで、
- 提供遅延
- オペレーション混乱
- クレーム増加
につながる場合があります。
実は失敗している店舗の共通点

飲食店の現場を見ると、モバイルオーダーで失敗する店舗には共通点があります。
それは、「流行っているから導入した」ということです。
- 客席数
- 客層
- 人員配置
- 業態
本来であれば、分析して本当に必要かどうかを判断し導入するべきですが、「何となくよさそうだから」と導入する方も、意外と多くおられます。
モバイルオーダーが向いている小規模店

以下のような店舗は効果が期待できます。
追加注文が多い業態
注文が集中する店舗では業務負担軽減につながります。
- 居酒屋
- 焼肉店
- バル
追加注文が多い業態であれば、スタッフのラウンド回数の軽減などで、作業効率など効果が期待できます。
若年層が多い
10代〜30代の利用が中心の店舗では、スマホで商品を注文するのに抵抗が無く、モバイルオーダーがスムーズに受け入れられやすい傾向にあります。
キャッシュレス決済を利用する方も多いので、回転率が上がり売上に期待ができるお店も多いです。
スタッフ不足が深刻
人手不足に悩む店舗では、注文受付や会計などの業務をモバイルオーダーに置き換えられるため、限られた人数でも店舗を運営しやすくなります。
▶もっと詳しく知りたい方へ。
→「合うお店」と「合わないお店」を詳しくまとめた記事です。

モバイルオーダーが向いていない小規模店


反対に以下の店舗は慎重に検討しましょう。
| 店舗の特徴 | 現場目線で向いていない理由 |
|---|---|
| 席数15席以下のカフェ | レジ待ちがほとんどなく、注文受付よりもドリンク作成がボトルネックになる。 |
| 個人経営の喫茶店 | 常連客との会話が価値になっており、注文のデジタル化が店舗の魅力を損なうことがある。 |
| 基本ワンオペで営業 | 注文受付は減るが、料理・提供・片付けは減らないため、想像ほど負担は軽くならない。 |
| 月商300万円未満 | 月額利用料・決済手数料を回収できず、利益が減るケースがある。 |
| メニュー説明が必要な洋菓子店 | ギフト提案や商品の説明が重要なため、対面接客の価値が高い。 |
これらの店舗では「費用対効果」が出にくい傾向があるので注意が必要です。
▶以下、モバイルオーダーのデメリットや、失敗しない方法について詳細にまとめた記事です。


導入前に確認すべきチェックリスト


導入前に以下を確認しましょう。
【チェック項目】
□ 注文業務が本当に負担になっているか
□ 客層はスマホ注文に慣れているか
□ 月額費用を回収できるか
□ POSレジと連携できるか
□ 厨房が注文増加に対応できるか
3つ以上不安がある場合は慎重な判断をおすすめします。
小規模店ならPOSレジの見直しが先の場合もある


実際には、モバイルオーダーより先にPOSレジを見直した方が効果が出る店舗もあります。
その理由は、小規模店では「注文受付」が業務の重荷になっているとは限らないからです。


10~20席程度の店舗では、お客様を待たせるほどレジが混雑することは少なく、スタッフが注文を取りに行く時間もそこまで負担にはなりません。
一方で、「会計業務」や「売上集計」、
「在庫管理」などに時間がかかっているケースは多く見られます。
POSレジを導入・見直しをすることで…
- 売上データの自動集計
- キャッシュレス決済との連携
- 在庫管理や販売分析の効率化
上記のような店舗全体の業務を改善できる可能性があります。
まずはPOSレジで会計や売上管理を効率化し、
それでもピーク時の注文対応が課題であれば、
モバイルオーダーを追加で導入する。
➥この順番の方が、特に小箱の飲食店では費用対効果が高くなるケースが多いです。
▶POSレジ導入費用や導入に失敗しない考え方について、詳しくまとめた記事があるので、良ければ参考にしてみてください。


まとめ


モバイルオーダーは便利な仕組みですが、
小規模飲食店に必ずしも向いているとは限りません。
- 客席数が少ない
- 接客価値が高い
- 高齢者客が多い
上記のような店舗では、導入によるメリットよりデメリットが
大きくなる場合があります。
重要なのは「流行だから導入する」のではなく、
「自店の課題を解決できるか」で判断することです。
現在導入を考えているのであれば、客層や店舗規模、厨房能力、POSレジとの連携まで含めて検討し、自店に最適な運営方法を選ぶのをおすすめします。
▶おすすめ記事①
→モバイルオーダーのメリットやデメリットについて。

▶おすすめ記事②
→POSレジの選び方について詳しくまとめています。





ピークタイムでも注文を取りに行くために、
スタッフが何度も客席を往復する必要が減るため、
少人数でもオペレーションが安定しやすくなるのが特徴です。