「正社員が定着しない」
飲食業界ではよく耳にする言葉です。
実際に…
- 採用しても数か月で退職する
- 店長候補が育たない
- 常に人手不足になっている
という店舗も多く見られます。
ですがその一方では…
同じ飲食業界でも正社員が長く働き続ける企業があります。
この違いはどこにあるのでしょうか。
私は飲食業界で12年以上、店長・製造責任者・エリアマネージャーとして現場運営と人材育成に携わってきました。
その経験から言えるのは、
正社員が辞める理由は「給与」だけではないということです。
この記事では、飲食店で正社員が定着しない本当の理由と改善策を現場目線で解説します。
正社員が辞める原因は一つではない

退職理由としてよく挙がるのは、
- 給与が低い
- 労働時間が長い
- 人間関係が悪い
などです。
もちろんこれらも理由になります。
しかし実際には、複数の不満が積み重なった結果として、
退職に至るケースがほとんどです。
理由① 将来が見えない
最も大きな原因の一つです。
例えば、以下のような状態のことです。
- 昇進基準が不明確
- 評価制度が曖昧
- キャリアパスがない
社員は「この会社で頑張った先に何があるのか」を知りたいと考えています。
将来像が見えない職場では定着しません。
理由② 店長に仕事が集中している
飲食店では、店長が何でも抱えているケースがあります。
- シフト作成
- 発注
- 教育
- クレーム対応
- 数字管理
結果、休日でも仕事が終わらず長時間労働につながります。
若手社員はその姿を見て、
と感じてしまいます。
理由③ 教育体制が整っていない
入社後に十分な教育を受けられない店舗もあります。
よくあるのが、「現場で覚えて」という指導です。
しかし、何をどこまで覚えればよいか分からない状態では、
不安やストレスが増えます。
理由④ 頑張っても評価されない
離職率が高い店舗ほど、評価基準が曖昧です。
- 売上を伸ばしても評価されない。
- 人材育成を頑張っても評価されない。
これではモチベーションは続きません。
理由⑤ 人手不足が慢性化している
人手不足そのものより、改善されないことが問題です。
例えば、
- 常に残業が多い
- 休日出勤が続く
- 店長が休めない
こういった状態のことです。
社員は、「会社が改善する気がない」と感じてしまいます。
現場で本当に多い退職理由

私自身、飲食店で「ベンチャー企業」や「上場企業」の、
店長やエリアマネージャーなどを経験してきました。
多種多様な離職する場面に携わってきましたが、
よくある退職理由について下記の表にまとめております。
| 退職理由 | よくある具体例 |
|---|---|
| 人間関係 | 店長との相性が悪い、スタッフ同士のトラブル、相談できる人がいない |
| 労働時間が長い | 残業が多い、休憩が取れない、シフトが不規則 |
| 給与・待遇への不満 | 時給・給与が低い、昇給がない、福利厚生が不十分 |
| 教育不足 | 研修がない、仕事を教えてもらえない、放置される |
| 評価されない | 頑張っても認められない、昇進・昇給につながらない |
| 店長・上司への不満 | 指示が曖昧、感情的に怒る、相談しにくい |
| 人手不足 | 常に忙しく負担が大きい、一人当たりの仕事量が多い |
| 仕事内容とのギャップ | 入社前の説明と実際の仕事が違う |
| 将来性が見えない | キャリアアップできない、成長を感じられない |
| 心身の疲労 | ストレスが多い、体力的についていけない |
その中でも、現場で一番多い退職理由は、
「あの人が嫌だから」
という“人間関係がメイン”の退職理由です。
特に飲食店で多い退職理由 TOP5
| 順位 | 退職理由 | 店舗への影響 |
|---|---|---|
| 1 | 人間関係 | 連鎖退職が起こりやすい |
| 2 | 人手不足・忙しさ | サービス品質の低下、離職の悪循環 |
| 3 | 店長・上司への不満 | モチベーション低下、定着率悪化 |
| 4 | 教育不足 | 新人が戦力化できず早期離職 |
| 5 | 給与・待遇への不満 | 他社へ転職しやすくなる |
飲食業に限らず、どの業種でも“退職理由NO.1”に上がってくるのが人間関係です。
実際には、人間関係・教育・マネジメント・労働環境など、
店舗運営の仕組みで改善できる要因が多くを占めています。
定着率が高い飲食店の特徴

では、社員が定着する店舗にはどんな特徴があるのでしょうか。
キャリアパスが明確
正社員からスタートし、ステップアップを「仕組み化」している企業は、離職率が低い傾向にあります。
- 一般社員
↓ - 副店長
↓ - 店長
↓ - エリアマネージャー
など、将来の道筋が見えているのが特徴です。
教育制度が整っている
教育を個人任せにしていません。
マニュアルや研修制度が整っていて、誰でも安定的に育つ環境がある企業は強いです。
店長を孤立させない
成果を出している企業ほど、
店長へのサポートが充実しています。
常に相談ができる場を設け、【人材育成】など方向性を密に話せる環境があれば、離職が減り人が定着します。
数字だけで評価しない
売上だけではなく、過程も評価する企業は定着率が高いです。
- 人材育成
- チーム作り
- 改善活動
個人の努力を認めることで、「しっかりと見てもらえている」と感じる企業は、人が離れにくいです。
▶仕組み化について詳しく知りたい方へ。

DXや仕組み化が定着率向上につながる理由

近年では、
- POSレジ
- モバイルオーダー
- シフト管理システム
などを活用する店舗も増えています。
これらは単なる効率化ツールではありません。
✓店長業務や事務作業を減らせる。
✓社員の負担軽減にもつながる。
結果として、働きやすい環境づくりに役立ちます。
▶DX化で効果が期待できるお店と、出ないお店について。

店長経験者が感じる本当の問題

現場で長く働いて感じるのは、辞める社員の多くが、
仕事を嫌いになったわけではないということです。
むしろ、
- 成長できない
- 評価されない
- 改善されない
こういったことに失望して辞めていきます。

今まで経験してきた結果ですが…
従業員同士のコミュニケーションが多く、
職場環境が良好なお店は「給与が低い」など多少の不平不満はあれど、人はほとんど辞めません。
小規模な飲食店では特に「人の魅力」で、
離職率は左右されると感じています。
多店舗展開するにつれて、人に依存する“俗人化”から、上手に「仕組み化」し組織づくりをすることが、離職率を下げる重要なポイントです。
▶離職率を下げる人との接し方について。

まとめ

飲食店で正社員が定着しない理由は、
単純な給与や休日の問題だけではありません。
特に以下のものは、離職率を高める大きな要因です。
- 将来が見えない
- 教育不足
- 評価制度の不透明さ
- 慢性的な人手不足
- 店長への負担集中
一方で定着率が高い店舗は、
教育・評価・仕組み化に投資しています。
採用が難しい時代だからこそ、
まずは「辞めない職場づくり」を考えることが重要です。
社員が長く活躍できる環境を整えることが、
結果的に強い店舗や組織づくりにつながるのです。



「自分も将来こうなるのか」