飲食店の店長やエリアマネージャーからよく聞く悩みです。
近年は人材育成の重要性が高まり、多くの企業で定期面談や1on1ミーティングが導入されています。
しかし実際には、
面談を実施しているにもかかわらず成果が出ていないケースも少なくありません。
私は飲食業界で12年以上、店長・エリアマネージャーとして人材育成や店舗運営に携わってきました。
その経験から言えるのは、
面談をすること自体が目的になっている組織では人は育たない
ということです。
この記事では、面談をしても人が育たない理由と改善策を現場目線で解説します。
面談は万能ではない5つの理由について

まず理解しておきたいのは、
面談をすれば人が育つわけではないということです。
面談はあくまで育成手段のひとつです。
目的が曖昧なまま実施しても成果は出ません。
理由① 面談が報告会になっている
最も多い失敗です。
例えば、
- 今月どうだった?
- 売上はどう?
- 問題はない?
で終わる面談です。
これは面談ではなく報告会です。
本人が考えたり成長したりする機会になっていません。
理由② 上司が話しすぎている
育成が苦手な管理者ほど、
自分が一方的に話してしまいます。
- こうした方がいい
- 私ならこうする
- 昔はこうだった
というアドバイス中心の面談です。
しかし人は、言われたことよりも自分で考えたことの方が行動につながります。
理由③ 目標が曖昧
面談後に、何を改善すれば良いか分からない状態です。
例えば、
「もっと頑張ろう」
「リーダーシップを発揮しよう」
では、何を目的に行動すれば良いかわかりません。
【良い目標例】
☐今月は新人教育を3回実施する
☐客単価を100円向上させる施策を考える
☐クレーム件数を半減させる
上記のように数字を交えた、具体的な目標を提示するべきです。
理由④ 面談後のフォローがない
面談だけして終わる店舗もあります。
しかし、人は一度話しただけでは変わりません。
重要なのはその後です。
【必要なこと】
☐進捗確認
☐振り返り
☐フィードバック
面談で話した後、
継続的に確認とフォローを行うことで改善していきます。
理由⑤ 信頼関係ができていない
本音を話せない面談は意味がありません。
- 評価が怖い
- 怒られそう
- 否定されそう
と感じている状態では、
本音で話すことができず委縮してしまいます。
これでは本当の課題が見えません。
人が育つ面談=相手が多く話している面談です

「人が育つ面談」で相手が多く話しているのには、
明確な理由があります。

私がエリアマネージャーとして面談をしていた頃、成果が出なかったたのは、ほとんど自分ばかりが改善点や目標を話していたことです。
「もっとこうした方がいい」
「次からは気を付けて」
「1年以内に売上○千万円超えを目指す」
と伝えるだけでは、その場では返事をしても行動は変わりませんでした。
しかし、質問を中心にしてスタッフが話す時間を増やすと、自分で課題や改善策を提案するようになり、その後の行動も大きく変わっていった経験があります。
相手が多く話している面談のほうが育つ理由について、
以下に解説していきます。
①自分で考えたことのほうが行動につながる
人は答えを教えられるより、
“自分で答えを見つけたほうが納得して行動できます”
例えば、
✕「もっと周りを見て動いて」
○「忙しい時間帯に何が起きていたと思う?」
このように質問されることで、自分で課題を整理し始めます。
② 本当の原因が見えてくる
上司が一方的に話すと、表面的な問題しか分かりません。
例えば「最近元気ないね」と思っていても、
本人に話してもらうと…
- 人間関係
- 家庭の事情
- 仕事内容への不安
- 将来への悩み
など、本当の原因が分かることがあります。
③「話を聞いてもらえた」という信頼が生まれる
人はアドバイスよりも、
「まず理解してもらいたい」と感じています。
話を最後まで聞いてもらえることで、
「この人なら相談できる」
「また話したい」
「もっと頑張ろう」
などの前向きな気持ちにつながります。
④自分で答えを口にすると責任感が生まれる
例えば、
上司:
「○○とか特によく頑張ってるね。自分の中で次の目標はある?」
社員:
「おすすめを強化して、客単価を上げていきたいです。」
上司:
「その目標を達成するために、具体的に何をやる?」
社員:
「商品知識をもっと覚えて、お客様への声掛けを増やします。」
このように、上司が答えを与えるのではなく、
質問を通して、
本人に目標や行動を言葉にしてもらうことが大切です。
自分で考え、自分で決めた行動は納得感が高く、
主体的な行動につながりやすくなります。
飲食店の面談で意識したい話す割合

理想は7割以上を相手が話すことです。
- 面談される側:70〜80%
- 面談する側:20〜30%
上司の役割は「話すこと」ではなく、
- 質問する
- 聞く
- 整理する
- 最後に方向性を示す
これらを意識しながら進めていけば、
自主的に考えて行動する部下が増え、強い組織づくりにもつながっていきます。
飲食店で特に多い面談の勘違い

現場でよくあるのが、
面談を評価の場にしてしまうことです。
- ミスの指摘
- 数字の確認
- 反省会
これでは人は成長しません。
面談は評価ではなく、より良い未来を作るための時間です。
▶評価制度が失敗する理由について。

面談する人が身につけるべきこと

人が育つ企業では、面談スキルを重要視しています。
| 身につけるべきこと | 理由・目的 |
|---|---|
| 傾聴力 | 相手の話を最後まで聞き、本音や課題を引き出すため |
| 質問力 | 答えを教えるのではなく、自分で考えさせるため |
| 承認力 | 良い行動や成長を認め、自信とモチベーションを高めるため |
| フィードバック力 | 改善点を前向きに伝え、成長につなげるため |
| 目標設定力 | 本人が納得できる具体的な目標を一緒に設定するため |
| 行動支援力 | 面談で終わらせず、実践・振り返りまでサポートするため |
| 信頼関係構築力 | 相談しやすい関係をつくり、本音で話せる環境をつくるため |
こういったスキルがあってこそ、初めて人が育つ面談として機能していきます。
▶人を育てるための人材育成術について。

エリアマネージャー経験者が感じる本当の原因

これまで数多くの店長面談や社員面談を見てきました。
その中で感じるのは、
面談が失敗する原因の多くは部下ではなく、
上司側にあるということです。
人が育つ面談とは、上司が答えを教える場ではありません。
本人が答えを見つける場です。
その環境を作れる管理者ほど、人材育成が上手い傾向があります。
▶飲食店の業務を“仕組み化”で解決したい方へ。

まとめ
面談をしても人が育たない飲食店には、
- 報告会になっている
- 上司が話しすぎる
- 目標が曖昧
- フォロー不足
- 信頼関係不足
という共通点があります。
一方で、人が育つ企業は、
- 傾聴する
- 質問する
- 行動目標を決める
- 継続フォローする
これらを徹底しています。
面談は「評価する時間」ではなく、
「相手が考え、成長する時間」です。
上司は話す量を減らし、質問を増やすだけで、
スタッフの主体性は大きく変わります。
人が育つ店舗をつくるためには、
教える技術よりも、引き出す技術が重要なのです。



「毎月面談をしているのに成長しない」
「面談をしても同じミスを繰り返す」
「離職防止のために面談をしているのに辞めてしまう」