飲食店を経営していると、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
クーポンは、値引きや特典によって来店のきっかけを作れるため、飲食店の集客施策として使いやすい方法です。
ですが、以下のような問題も起こる可能性があります。
- クーポンを配っても来店につながらない
- 値引きした分だけ利益が減ってしまう
- クーポンを使うお客様ばかりになってしまう
- 新規客は増えてもリピーターにならない
飲食店のクーポンは「配れば効果が出る」というものではありません。
重要なのは、割引率を大きくすることではなく、「誰に」「何の目的で」「どのタイミングで」クーポンを使うのかを決めることです。
この記事では、飲食店のクーポンが持つ効果から、失敗しやすい使い方、利益を残しながら集客につなげる方法まで詳しく解説します。
飲食店のクーポンは本当に効果がある?

結論から言えば、飲食店のクーポンには集客や再来店を促す効果が期待できます。
LINEヤフーも、飲食店のクーポンについて、新規顧客の獲得だけでなくリピーター獲得にも活用できる販促手段として紹介しています。比較的低予算で始めやすいこともクーポンの特徴です。
ただし、ここで注意したいのが、
「クーポンを配布した=売上が増えた」ではないということです。
例えば…
通常価格1,000円の商品を、100円引きして900円で販売するとします。
クーポンによって10人の来店が増えたとしても、全員が本来クーポンなしでも来店していたお客様なら、単純に1,000円の値引きをしただけです。
逆に、クーポンが来店のきっかけになり、新規客が増え、その後リピートしてくれれば、クーポンの価値は大きくなります。
そのため、クーポンの効果は「利用人数」だけでは判断しないことが重要です。
飲食店がクーポンを使う4つのメリット

クーポンには、単純な値引き以外にもさまざまな役割があります。
1.新規顧客の来店理由を作れる
初めて行く飲食店には、誰でも多少の不安があります。
「どんな店なのか分からない」
「価格が高かったらどうしよう」
「自分に合わなかったら嫌だ」
このような心理的なハードルを下げるのがクーポンです。
例えば、
初回限定!ドリンク1杯サービス
初回来店のお客様限定!500円OFF
などの特典があれば、
「せっかくだから行ってみよう」という来店理由を作れます。
特に、まだ認知度が低い店舗や、新規出店した店舗では活用しやすい施策です。
2.来店のきっかけを作れる
クーポンには、「今行く理由」を作る効果があります。
「いつか行ってみたい」
と思っているお客様がいたとしても、それだけでは来店しないことがあります。
9月30日まで限定
デザート100円OFF
など期限を設定すると、来店を先延ばしにしにくくなります。
クーポンは単なる値引きではなく、来店を後押しするきっかけとして考えることができます。
3.閑散時間帯の集客に使える
クーポンは、店舗全体の集客だけでなく、
特定の曜日や時間帯の集客にも活用できます。
例えば、平日の14時〜17時が暇なカフェなら、
平日14時〜17時限定
ドリンクセット100円OFF
といったクーポンを出します。
土日など、もともと客数が多い時間帯に値引きをするよりも、空いている時間帯に限定したほうが、クーポンによる売上増加を狙いやすくなります。
「いつでも使えるクーポン」より「来店してほしい時間に使えるクーポン」のほうが、店舗側にとって戦略的な使い方ができます。
4.再来店のきっかけを作れる
クーポンは新規集客だけではなく、リピーター獲得にも活用できます。
例えば、初回来店のお客様に、
本日はご来店ありがとうございました。
次回使えるドリンクサービス券です。
と渡します。
これなら、クーポンの目的が「今回の値引き」ではなく、
「次回来店を促すこと」になります。
特に飲食店では、一度来店したお客様に再び来てもらえるかどうかが重要です。クーポンの効果を高めるなら「値引き額」より目的を決める
クーポンを作るとき、「何%引きにしよう?」と考える店舗は多いでしょう。
しかし、最初に考えるべきなのは割引額ではありません。
まず、「このクーポンで何を増やしたいのか?」を決めます。
| 目的 | クーポンの考え方 |
|---|---|
| 新規客を増やしたい | 初回限定特典 |
| 平日の客数を増やしたい | 平日限定 |
| 閑散時間を埋めたい | 時間帯限定 |
| 客単価を上げたい | 一定金額以上で特典 |
| 再来店を増やしたい | 次回利用特典 |
| 特定商品を売りたい | 商品限定特典 |
| LINE登録を増やしたい | LINE登録者限定 |
このように考えると、クーポンの設計が変わります。
飲食店で使えるクーポンの種類

クーポンにはさまざまな形式があります。
1.○%OFFクーポン
最も分かりやすいのが、会計から一定割合を割り引く方法です。
例:お会計10%OFF
分かりやすい反面、客単価が高いほど値引き額も大きくなるため、利益への影響を確認する必要があります。
2.○円OFFクーポン
例:1,500円以上のお会計で300円OFF
最低利用金額を設定することで、客単価を一定以上に保ちながら利用を促せるのがメリットです。
単純な「300円OFF」よりも、「1,500円以上で300円OFF」のように条件を付けたほうが、客単価アップにつなげやすくなります。
3.ドリンク・デザートサービス
飲食店では、値引きではなく商品のサービスも有効です。
例:ドリンク1杯サービス
例:食後のデザートサービス
特に原価の低い商品を特典に設定できれば、販売価格を大きく下げずにお得感を演出できます。
ただし、「原価が安いから何でもいい」というわけではありません。
お客様にとって魅力のある特典であることが重要です。
4.次回利用クーポン
リピーターを増やしたい場合に使いやすい方法です。
次回使える500円OFF
次回来店でドリンクサービス
ポイントは、「今回使えるクーポン」と「次回使えるクーポン」では目的が違うことです。
今回のクーポンは来店促進、次回クーポンはリピート促進など、目的を明確に分けることで効果が発揮できます。
5.期間限定クーポン
「今行く理由」を作りたい場合に適しています。
例:○月限定
例:冬限定メニューをご注文のお客様限定
季節商品や新商品と組み合わせることで、単なる値引きではなく、商品を知ってもらうための販促として活用できます。
飲食店のクーポンで失敗する5つのパターン

クーポンは便利な一方、使い方を間違えると利益を削るだけになってしまいます。
1.とにかく大きな割引をする
「お客様を増やしたいから50%OFF」という考え方は危険です。
値引き率が大きければ、お客様にとっての魅力は高くなり、来店動機に繋がりやすくなります。
ただし、大幅な値引きはリピートに繋がりにくく、長期的に見てマイナスになります。
お客様からすれば、「前はこの値段で食べられたから…」「普段の金額やったら別に他のお店でいいかな」と感じやすいです。
そのため「値引きで客寄せ=利益を削る」だけでなく、本来値引きしなくても来ていたはずの見込み客まで、来店頻度が下がる危険性もあります。
2.全員に同じクーポンを配る
「とりあえず全員に10%OFF」という使い方も、あまりおすすめできません。
理由については以下、
- 新規客
- 常連客
- 来店頻度が低い客
- 平日に来てほしい客
それぞれ必要な施策が違うからです。
例えば常連客に毎回10%OFFを提供しても、もともと来店していた可能性があります。
「しばらく来店していないお客様」に絞って訴求したほうが、クーポンの役割が明確になります。3.期限が長すぎる
「いつでも使えるクーポン」は便利ですが、来店を急ぐ理由がありません。
12月31日まで利用可能
よりも、
今週末まで
のほうが、来店のきっかけを作りやすくなります。
ただし、期限を短くしすぎると利用できる人が減るため、店舗の商圏や顧客の来店頻度に合わせて設定しましょう。
4.クーポンだけで集客しようとする
クーポンはあくまで販促手段です。
料理がおいしい、接客が良い、店内の雰囲気が良い、アクセスが良いなど、来店したい理由がなければ、クーポンだけで長期的な集客を作るのは難しくなります。
特に新規客の場合は、クーポンで来店してもらう → 店舗を知ってもらう → 満足してもらう → 再来店してもらうという流れを作ることが重要です。
5.クーポン利用者を分析しない
「100人が使った」だけでは、クーポンが成功したのか判断できません。
見るべきなのは、その先です。
- クーポン配布数
- クーポン利用数
- 利用率
- 新規来店数
- 客単価
- 粗利益
- 2回目来店率
- 3回目来店率
クーポンは「利用されたか」だけではなく、「利用された結果、店舗にどんな変化があったか」まで見ることが重要です。
クーポンの効果を測るために見るべき数字

クーポンを運用するなら、最低限以下の数字を確認しましょう。
| 指標 | 計算・確認方法 | 分かること |
|---|---|---|
| 配布数 | 配布した人数・件数 | どれだけ届けたか |
| 利用数 | クーポン利用人数 | 何人が反応したか |
| 利用率 | 利用数÷配布数 | クーポンの反応率 |
| 売上 | クーポン利用者の売上 | 売上への影響 |
| 客単価 | 売上÷客数 | 客単価への影響 |
| 値引き額 | クーポンによる値引き総額 | 販促コスト |
| 粗利益 | 売上−原価など | 利益への影響 |
| 再来店率 | 再来店者÷クーポン利用者 | リピーター化 |
特に重要なのが、「クーポン利用者の再来店率」です。
クーポンを使って1回来店しただけで終わるのか、その後も来店してくれるのかでは、クーポンの価値が大きく変わります。
クーポンは「値引き」ではなく「行動を促す仕組み」と考える

クーポンを成功させるためには、「安くする」という考え方から、
「お客様にどんな行動をしてほしいか」という考え方に変えることが重要です。
例1:新規客を増やしたい
「初回来店限定ドリンクサービス」
↓
来店のハードルを下げる。例2:平日の客数を増やしたい
「平日14時〜17時限定デザートサービス」
↓
閑散時間帯への来店を促す。例3:客単価を上げたい
「2,000円以上のお会計で300円OFF」
↓
一定以上の注文を促す。例4:リピーターを増やしたい
「次回使えるドリンクサービス券」
↓
次回来店の理由を作る。このように考えると、同じ「クーポン」でも店舗の課題に合わせて使い分けられます。
LINEでクーポンを配信する

既存顧客への再来店を促すなら、
LINE公式アカウントとの組み合わせも有効です。
LINE公式アカウントでは、メッセージ配信とクーポンを組み合わせて、お客様に直接情報を届けることができます。
LINEヤフーも飲食店向けのクーポン活用方法として、
新規集客だけでなくリピーター獲得を紹介しています。
【本日から3日間限定】
夏限定メニューをご注文の方にドリンクサービス
のように、期間限定の商品とクーポンを組み合わせます。
重要なのは、毎回値引きするのではなく、「来店する理由があるときに送る」ことです。
LINEクーポンの発行について
LINEでクーポンを発行する手順については、以下の流れです。
- LINE公式アカウントマネージャーでクーポン内容(割引額、有効期限などの情報)を設定
- 作成したクーポンを、トーク画面でユーザーへ配信
- ユーザーが実際に店舗でクーポン画面を提示する
- 割引などの対応を店舗で行う。
簡単に設定と発行ができるので、利用しやすいのも魅力です。
Googleマップとクーポンを組み合わせる

新規客を増やしたい飲食店なら、
Google ビジネスプロフィールとの組み合わせも検討できます。
Googleは2025年5月、日本の飲食店について、スマートフォンのGoogle検索に表示されるビジネスプロフィール上に、店舗で利用できるクーポン情報を表示する機能を開始しました。
対象の予約サイトで提供されているクーポンが表示され、ユーザーがクリックするとクーポンページへ移動できます。
また、Google ビジネス プロフィールでは、
飲食店が特典や最新情報、イベントなどを投稿できます。
Google検索・Googleマップで店舗を探す
↓
店舗情報を見る
↓
クーポンを知る
↓
来店・予約する
上記のような導線を作れる可能性があります。
ただし、Google ビジネス プロフィールはクーポンだけを運用するものではありません。
写真、メニュー、営業時間、口コミなど、来店判断に必要な情報を整えたうえでクーポンを組み合わせることが重要です。
GBPでのクーポン発行の手順
Googleビジネスプロフィールでのクーポン設定の手順です。
| STEP | 操作 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | Googleビジネスプロフィールを開く | 店舗の管理画面にログイン |
| ② | 「投稿」を選択 | 投稿作成画面を開く |
| ③ | 「特典」を選択 | クーポン用の投稿を作成 |
| ④ | クーポン内容を入力 | 写真・タイトル・期間・詳細などを設定 |
| ⑤ | クーポンコードを設定 | 必要に応じて「MAP500」などを設定 |
| ⑥ | 利用条件を設定 | 1組1回まで、他クーポン併用不可など |
| ⑦ | プレビュー→公開 | 内容を確認して公開 |
「クーポン利用者だけ得をする」状態を作らない

クーポン施策でありがちな問題が、
通常価格で来店するお客様より、クーポン利用者のほうが常に得をする
という状態です。
例えば、「毎回10%OFF」を配ってしまうと、
お客様が「定価では行きたくない」と感じる可能性があります。
そのため、クーポンには条件を設定する方法があります。
条件設定の例
- 平日限定
- 時間帯限定
- 初回来店限定
- 2名以上限定
- ○円以上の利用
- 特定商品限定
- 次回利用限定
- 期間限定
こうした条件を設定することで、値引きする顧客やタイミングをコントロールできます。
飲食店のクーポンは「粗利益」で考える

クーポンを評価するとき、売上だけを見るのは危険です。
- 通常価格1,500円
- クーポン価格1,200円
この場合、1人あたり300円の値引きです。
100人が利用すれば、値引き額は30,000円。
ここで、「100人も来店した!」と喜ぶだけではなく、クーポンによって増えた利益が、値引き額を上回っているのかは必ず確認するべきです。
さらに、クーポンでの新規来店者が次回も来店した場合には、その後の売上や利益も考えられます。
そのため、クーポンは短期的な売上だけではなく、「新規顧客を獲得するためのコスト」として考えることもできます。
成功するクーポンの作り方5ステップ

実際にクーポンを作るときの手順を整理します。
| STEP | やること | ポイント・確認事項 |
|---|---|---|
| STEP1 目的を決める | クーポンで何を改善したいのか決める | 新規客・平日の客数・客単価・リピートなど、目的を1つに絞る |
| STEP2 対象者を決める | 誰にクーポンを配るのか決める | 初回来店客・既存客・休眠客・LINE登録者など、対象を明確にする |
| STEP3 利益を計算する | 値引きによる利益への影響を確認する | 「300円OFF×100人=30,000円」など、値引き総額を事前に計算する |
| STEP4 利用条件を設定する | クーポンの利用条件を決める | 「1,500円以上」「平日限定」「初回来店限定」など、条件を分かりやすく設定する |
| STEP5 結果を検証する | クーポン利用後の成果を確認する | 配布数・利用率・売上・客単価・粗利益・新規客数・再来店率などを確認し、次回の施策に活かす |
飲食店クーポンのチェックリスト

最後に、クーポンを作成する前に確認しておきましょう。
目的
- 新規客を増やしたい
- 平日の客数を増やしたい
- 閑散時間帯を埋めたい
- 客単価を上げたい
- リピーターを増やしたい
- 特定の商品を販売したい
クーポン設計
- 誰に使ってほしいか決まっている
- 利用期間を設定している
- 必要に応じて利用条件を設定している
- 割引額を計算している
- 利益への影響を確認している
- お客様にとって魅力のある特典になっている
効果測定
- 配布数を記録している
- 利用数を記録している
- 利用率を確認している
- 客単価を確認している
- 値引き額を確認している
- 粗利益を確認している
- 再来店率を確認している
まとめ
飲食店のクーポンは、正しく設計すれば新規集客や再来店を促すための有効な販促手段になります。
しかし、「クーポンを配ればお客様が増える」と考えるのは危険です。
重要なのは、
- 誰に配るのか
- 何のために配るのか
- どのタイミングで使ってもらうのか
- 値引きしても利益が残るのか
を考えることです。
特に飲食店では、クーポンの利用数だけで成功・失敗を判断するのではなく、
「新規来店 → 満足 → 再来店 → リピーター化」まで追うことが重要です。





「クーポンを出せば、お客さんは増えるのか?」